日商簿記1級経理マンのテツオです。
公的年金の2019年3Qの運用実績が公開されました。
3Q単独で7.3兆円の運用益(利回り4.6%)、累計で75兆円の運用益(利回り年率3.2%)。
運用額も169兆円と、過去最高に到達。正に桁違いですね。
私達が将来受け取る公的年金も実はインデックス投資で運用され、将来の支払いに向けて着実に資産を増やしています。
今回は公的年金のポートフォリオと運用結果を見ていきたいと思います。
年金は誰がどうやって運用しているの?
まず基本的な点から。
我々国民から徴収した年金保険料はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用しています。
GPIFは厚生労働省主管の組織であり、「厚生年金保険事業及び国民年金事業の安定に資することを目的としている組織」です。(公式HPより)
そして、その運用目標は「賃金上昇率+1.7%」。
年金支給額が賃金上昇率に応じて上昇するため、賃金上昇率以上の利回りで運用しなければ年金制度そのものが完全に破綻してしまうからですね。
年金の運用方針・ポートフォリオ
そんな年金の運用方針はどうなっているのか?
公式HP掲載の投資原則を一部転載します。
[1] 年金事業の運営の安定に資するよう、専ら被保険者の利益のため、長期的な観点から、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することを目標とする。
[2] 資産、地域、時間等を分散して投資することを基本とし、短期的には市場価格の変動等はあるものの、長い投資期間を活かして、より安定的に、より効率的に収益を獲得し、併せて、年金給付に必要な流動性を確保する。
- 年金財政に必要な利回り(賃金上昇率+1.7%)を最低限のリスクで確保すること
- 資産・地域・時間を分散して投資すること
主にこの2点が謳われていますね。
個人が運用する際にもこの考え方は非常に参考になると思います。
そして、年金運用のポートフォリオがこちら。(公式HPより)
日本60%、海外40%、株式と債券を半分ずつ持ち合うディフェンシブなポートフォリオですね。
株式100%にして暴落時に年金資産が半分になりました、なんてことは出来ないので、ある意味当然でしょうか。
目標利回りが「賃金上昇率+1.7%」なので過度にリスクを取りに行く必要もないですしね。
インデックス投資
さて、そんな年金ですがポートフォリオの中身を見てみるとインデックス型で運用されていることが分かります。
資産 | ベンチマーク |
国内株式 | TOPIX配当込み |
国内債券 | NOMURA-BPI(除くABS) |
外国株式 | MSCI ACWI(除く日本 円ベース) |
外国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本 円ベース) |
入金力が日本最強である以上、下手にアクティブ運用を行う必要はなく、インデックス型の積立投資で着実に資産形成が出来るという目論見でしょう。
これは個人にも言えることで、私のようなド素人が下手の横好きで個別株に投資するくらいなら、猪突猛進でインデックス型に積立した方が安定した利回りを得られます。
公的年金が非常に合理的な方針の下で運用されていることが良く分かりますね。
年金の運用結果
公的年金の運用結果は以下の通り。(公式HPより)
2001年から運用を始め、四半期単位ではプラスとマイナスを繰り返しながら、着実に資産を積み上げています。
冒頭にも記載しましたが、累計の収益率が年利3.2%、収益額が75兆円と、本当に桁違いです。
運用資産額が169兆円で収益額が75兆円なので、累計の利回りは約80%。
ディフェンシブなポートフォリオでも20年掛ければ資産が倍近くになるということですね。
四半期単位にみても、世界同時株安だった2018年度3Qを除き、直近2年間は常にプラスリターン。
成長を続ける世界経済の恩恵を受けて、着実に資産を積み上げています。
外国株式100%のポートフォリオと比べるとリターンは少し物足りないですが、「賃金上昇率+1.7%」を目標として着実に運用することが目標なので、リスクを取りすぎないようにしているのでしょう。
これは個人にも言えることで、20代・30代の若い頃は株式100%のポートフォリオで問題ないでしょうが、資産の取崩しが近付く50代・60代は債券や現物比率を高めていく必要があると考えています。
それにあたって公的年金のポートフォリオは非常に参考になりますね。
おわりに
本日は公的年金のポートフォリオと運用結果でした。
消えた年金だの色々叩かれることもありますが、運用の中身はいたって堅実。
少子高齢化により公的年金だけでは老後資金を賄うのに2,000万円不足というのは少し残念ですが、そこは自助努力でなんとかしましょう。
株のド素人でも着実な資産運用が出来るインデックス投資、資産形成にあたり是非おススメします!
ありがとうございました。
こちらの記事も読まれています
コメント