日商簿記1級経理マンのテツオです。
1月に入り、第3四半期決算が近付いてきました。
年間の決算を占う上でも非常に重要な第3四半期決算。
今回は私が考える、第3四半期決算における要チェックポイントを紹介したいと思います。
第3四半期決算で見るべきポイントは?
通常の決算と同様、売上・利益などの業績、ROE・ROAなどの指標も当然見るべきですが、特に注目すべきポイントは「年間の業績予想」です。
年間の業績予想は第2四半期以前でも発表はしていますが、第3四半期決算で修正することがあります。
そして、第3四半期決算の業績予想は大体当たります。
具体例を見ていきます。
第3四半期決算の年間予想と実績比較
これは日本の時価総額上位10社(2020年1月時点)の2018年度の第3四半期決算における年間予想と第4四半期の実績値を比較した表です。
※ソフトバンクグループ、キーエンス、三菱UFJグループは予測値の開示なし
リクルートの営業利益を除き、予想と実績の乖離率が最大でも2%台、かなり精度の高い予想であることが分かります。
特にNTTは乖離率が±0.2%、凄まじい精度ですね。
各社、第4四半期決算を先取りしているかのようです。(もちろんズレることもありますが)
では、なぜここまで正確な予想が出来るのか?
そして、それがどのように役立つのか?
私なりの考えを紹介したいと思います。
なぜ正確な予想が出来るの?
なぜここまで正確な予想が出来るのか。理由は大きく2点あります。
- 9ヶ月も経過すれば残り3ヶ月の予想は容易だから
- 会社を挙げて目標(予想値)を達成出来るよう死に物狂いで取り組むから
9ヶ月も経過すれば残り3ヶ月の予想は容易だから
社内の業務に一番詳しいのは自分自身、年度が9ヶ月も経過すれば年間の予想はおおよそは付きます。
(まあ数字を作り始めるのは7ヶ月や8ヶ月経過時点なのですが)
社内に蓄積された過去データがありますし、後は今年度の傾向を加味して残りの数ヶ月の予想をするだけですからね。
また、予測値は発表した以上は達成すべき目標(ノルマ)になるため、担当者はかなり正確な予想を行います。
これが第3四半期決算の予想値が正確である1つめの理由です。
会社を挙げて目標(予想値)を達成出来るよう死に物狂いで取り組むから
2つめの理由は、会社を挙げてその予想値を達成するよう死に物狂いで取り組むからです。
特に2~3月は営業マンも大変ですが、経理マンも大変です。
仕訳データにミスがないかチェックしながら、年間の目標(予想値)を達成出来るよう会社全体をコントロールしていく。
不正をして数字を操作するなんてことはもちろんしませんが、合法の範囲内でやれることは全てやります。
そうやって会社を挙げて目標(予想値)を達成しようとする。
だから第3四半期決算の予想値は正確なのです。
正確な予想がどのように役立つのか?
では正確な予想がどのように役立つのか?
私は、「投資判断が先取り出来る」、これに尽きると思います。
これは昨年1~3月の日経平均とオリックス社の株価を比較したチャートです。
(茶色が日経平均、青色がオリックス)
オリックスといえば、財務良し、配当良し、優待良しの優良銘柄として有名ですが、昨年2~3月にかけて株価を一時的に下げています。
その間日経平均は上がり続けました。
これは、オリックスが第3四半期決算で年間予想を下方修正したことが多少なりとも影響しているのでしょう。
それに対して個人投資家はどう向き合うべきか?
個別株の素人なりの考えですが、個別株に投資する以上は株価・財務に対して買い増し・売却のストーリーをある程度考えているはずです。
例えば、第3四半期決算の実績と年間の予想値が自分自身の期待値よりも低ければ、保有株を売却して利確または損切りするというのも一案でしょう。
一方、自分自身の期待値より高かったり、今後巻き返しの見込みがありそうであれば、叩き売りでバーゲンセール中の株を買い増しするというのも一案だと思います。
いずれにせよ、自分自身のストーリーと照らすことにはなると思いますが、第4四半期決算を待たずとも、第3四半期決算時点でその判断が先取り出来る。
それが、「予想値が正確であること」を知っているメリットであると考えます。
おわりに
本日は第3四半期決算における要チェックポイントを紹介しました。
もちろん予想値なので、ズレることもあります。
しかし、データで見る通り、多くの会社はかなり正確な予想値を発表します。
年間決算を占う第3四半期決算、日本は2月発表の会社が多いですが、経理マンの魂のこもった数値、是非注目いただければと思います。
ありがとうございました。
※投資は自己責任でお願い致します。
コメント