日商簿記1級経理マンのテツオです。
私は家の投資とは別に小遣い投資を行っており、SBIバンガードS&P500とeMAXISスリムS&P500を同額積立しています。
SBI証券の積立設定件数ランキングでも1位、2位に並ぶこの2つの投資信託、どちらを積立するか悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はこの2つの投資信託を徹底比較してみたいと思います。
基本情報
SBIバンガードS&P500とeMAXISスリムS&P500の基本情報は以下の通り。
※短縮のため、SBIバンガードS&P500はSBIバンガード、eMAXISスリムS&P500と表記します。
純資産額等は2020/5/31時点のデータです。
SBIバンガード | スリムS&P500 | |
設定日 | 2019.09.26 | 2018.07.03 |
純資産 | 371.8億円 | 1,018.9億円 |
SBIバンガードは2019年9月、スリムS&P500は2018年7月と、設定日から日の浅い投資信託です。
しかし、純資産額は右肩上がりで、2020年5月時点でSBIバンガードが371億円、スリムS&P500が1,019億円と、非常に大きな額に。
人気のない投資信託で、繰上償還リスクがあるのが純資産額10億円未満と言われているので、人気度合いが伺えます。
特にスリムS&P500はかねてからのライバルである楽天VTIを抜き、つみたてNISA対象の米国株式100%投資信託で純資産額1位になりました。
SBIバンガードも同ランキングで3位と、楽天VTIを含めて3強状態になっています。
投資先・組入銘柄
SBIバンガード | スリムS&P500 | |
投資先 | 米国を代表する大型株500銘柄への分散投資 | |
構成銘柄数 | 約500 | |
連動指数 | S&P500 | |
保有方法 | ETF(VOO) | 現物保有 |
この2つの投資信託の投資先は同じで、米国を代表する大型株500銘柄への分散投資。
市場平均への連動を目指すインデックス型の投資信託で、連動指数はS&P500(円換算)。
投資先は同じですが、この2つの投資信託の違いは、株式を直接保有するかどうか。
- SBIバンガード:VOOという海外ETF(上場株式の集合体)を保有する投資信託
- スリムS&P500:米国を代表する500社の株式を直接保有する投資信託
SBIバンガードは他社のパッケージ商品を保有する投資信託で、スリムS&P500は株式を直接保有する投資信託と理解すればOKです。
これが後述するコストやベンチマーク乖離率に関わってくるので、非常に重要です。
組入銘柄
■SBIバンガードの組入銘柄
SBIバンガードはVOOを100%保有する投資信託なので、本家VOOの組入銘柄になります。
マイクロソフト、アップル、アマゾン等の米国を代表する企業が並びますね。
■スリムS&P500の組入銘柄
こちらもマイクロソフト等が上位に来ていますが、SBIバンガードで9位のP&GがスリムS&P500では11位以下になっています。
また、マイクロソフトは両方で組入比率1位ですが、SBIバンガードでは5.67%、スリムS&P500では5.3%と、若干ながら差異があります。
同一指数に連動する投資信託ではありますが、組入比率には少し違いがあることが分かりました。
基準価額・利回り・チャート
SBIバンガード | スリムS&P500 | |
基準価額 | 10,239円 | 11,130円 |
利回り(直近6ヶ月) | ▲5.01% | ▲4.96% |
同一指数に連動する投資信託ですが、直近6ヶ月のリターンはスリムS&P500の方が若干上です。
チャートを並べると以下の通り。
■SBIバンガード
■スリムS&P500
■SBIバンガード・スリムS&P500比較
この表はSBIバンガードの設定日である9/26の基準価額を100として、SBIバンガードとスリムS&P500の基準価額の推移をグラフ化したものです。
青の線がSBIバンガード、オレンジの線がスリムS&P500なのですが、ほぼ完全に重なっており、青の線が全く見えてきません。
辛うじて3月中旬に青の線が見えますね。
この8ヶ月で最大の差は0.69%、大半が0.1~0.2%差に収まっています。
それくらい差のない投資信託ということですね。
ただし、毎日積立を行った場合、162営業日中132営業日でスリムS&P500のリターンが上です。
微差ながらスリムS&P500が勝っている日が多い、ということですね。
経費率
SBIバンガード | スリムS&P500 | |
信託報酬(税込み) | 0.0938% | 500億円未満:0.0968% 500億円~1,000億円:0.09625% 1,000億円以上:0.957% |
実質コスト | ||
第1期 | - | 0.242% |
第2期 | - | - |
投資信託で最も重要な要素とも言えるコスト(経費率)。
信託報酬は両方とも0.1%以下と非常に優秀ですが、比較をするとSBIバンガードが僅かながら勝っています。
しかし、隠れコストを加えた実質コストはまだ不明。
SBIバンガードと同じく、ETFを購入する投資信託である楽天VTIは第1期の実質コストが高かったですね。(第2期で改善)
ETFを購入する投資信託は立ち上がりの第1期は実質コストが高くなる傾向にあるので、SBIバンガードの第1期決算に注目したいと思います。
ベンチマーク乖離率
SBIバンガード | スリムS&P500 | |
1ヶ月 | +0.02% | +0.0% |
3ヶ月 | ▲0.01% | +0.1% |
6ヶ月 | ▲0.05% | +0.0% |
設定来 | ▲0.12% | +0.2% |
コストと並んで重要な要素がベンチマーク乖離率。
連動するインデックスと投資信託の値動きを比較するもので、SBIバンガードは設定来▲0.12%と若干残念な結果に。
SBIバンガードが本家VOOを買付する投資信託である以上、SBIバンガードのコストやVOOの売買コストの関係で、本家VOOよりも利回りが悪くなるのは避けられません。
つみたてNISAの非課税口座を利用するのであれば、課税口座で直接VOOを購入するよりもリターンは大きくなりますが、インデックス型の投資信託で連動指数より(若干ですが)利回りが悪くなるのは残念ですね。
直近数ヶ月はベンチマークとの乖離が極小なので、引き続きチェックしていきたい項目です。
一方、スリムS&P500のベンチマーク乖離率は+0.2%と、SBIバンガードとは対照的な結果に。
SBIバンガードと異なり現物保有型であることが大きいと思われます。
スリムS&P500の運用は今のところ上手くいっているようですね。(SBIバンガードも失敗している訳ではないです。)
販売会社
この2つの投資信託に限って言えば、販売会社(どの証券会社で購入するか)は非常に重要な要素です。
なぜならば、SBIバンガードは楽天証券で購入することが出来ないからです。
■販売会社
SBIバンガード | スリムS&P500 |
・SBI証券 ・マネックス証券 ・岡三オンライン証券 ・佐賀銀行 |
・楽天証券 ・SBI証券 ・三菱UFJ銀行 ・auカブコム証券 等 19社 |
楽天証券の有無は非常に大きいです。
なぜならば、楽天証券の場合、楽天カードで積み立てすることで、積立額の1%が楽天ポイント還元されるからです。(上限:500ポイント/月)
たかが1%と甘く見てはいけません。
先ほどの比較グラフで、SBIバンガードとスリムS&P500はほぼ同じ推移でしたが、これにポイント還元を加えるとスリムS&P500が常に勝ちます。
受け取ったポイントは普通に買い物に使っても良いですし、投資信託の買付に使うことも出来ます。
つまり、投資で受け取った楽天ポイントを再投資することでSBIバンガードとスリムS&P500の差は更に開いていくのです。
一応SBI証券にもポイント還元プログラムはあるのですが、この2つの投資信託の場合、投資信託の保有残高に対して年0.02%のTポイントが還元されます。
なので、3,000万円以上の保有残高があればSBI証券の方が有利になります(これだけ資産があればポイント還元は効果薄ですね)。
著者の運用利回り
私は2020年2月からSBI証券でSBIバンガードとスリムS&P500の同額積立を開始し、定期的に運用利回りの比較を行っています。
最新の運用結果は以下の通り。
2月からの積立ではSBIバンガードが0.1%差で勝利という結果になりました。
スリムS&P500がSBIバンガードに勝っている日が多いとは言っても、積立開始時期によってリターンは変わるということですね。
3月に毎日積立を行っていた時の比較結果はこちらの記事を参照下さい。
この時はスリムS&P500が勝利しています。
まとめ
- SBIバンガードは、米国を代表する500銘柄を間接的に保有
- スリムS&P500は、米国を代表する500銘柄を直接保有
- 利回りはほぼ同じ
- 経費もほぼ同じ
- 設定来のベンチマーク乖離率はSBIバンガードが▲0.12%、スリムS&P500が+0.2%
- SBIバンガードは楽天証券では購入不可
明確な優劣はないので、どちらに投資するかは投資家の好みになると思います。
間接保有でVOOという巨人に乗っかりたい場合はSBIバンガード、株式直接保有でベンチマーク乖離等のデメリットを回避したい場合はスリムS&P500。
楽天証券で楽天カード積立して楽天ポイント還元を受けたい場合はスリムS&P500。
どちらに投資するか迷っていて行動出来ないようであれば、私のように両方を同額積立でも良いと思います。
まずは一歩踏み出し、投資を行うこと。そして、長期間(20年以上)継続すること。
どちらも優秀な投資信託、行動こそが最も重要であると考えます。
ありがとうございました。
※投資は自己責任でお願い致します。
こちらの記事も読まれています
コメント